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研究本部 開発日誌

vol3.凍りついた瞬間

所長への懐疑的な視線の送り主、それは研究所員の一人、藤間 袴(とうま はかま)
であった。

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彼女はデザイン・アート系を担当しており、その個性的な名前、キラリと光る感性、
そして誰よりも冷静な物腰から所員からも一目を置かれている存在である。
実は彼女は以前から所長に対し、ある一つの疑念を抱いていたのだが、『まさか、
そんなはずはない』と自分に言い聞かせることでその思いをこれまで何とか胸の
内にとどめ続けてきたのであった。しかし、研究所設立以来、口を開いては途方も
ない夢やとりとめもない事ばかり言っては騒いでいる所長を見続け、彼女の我慢も
もはや限界に達していた。

「しょ、所長っ!」
さすがに藤間の声のトーンがいつもとは違うことに気付いたのか、所長はやや驚いた
ような表情で振り返った。
「ん?どうした?トウマ」
「所長はステテコを世界へだの何だの言って、こんな研究所まで立ち上げておいて、
 けど、本当は何の計画性も無い、勢いだけなんじゃないですかっ!?

設立以来、研究所内の空気が初めて凍りついた瞬間であった。(続)

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