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研究本部 開発日誌

vol9.池田哲也さんとの対談(4)

(以下  服飾評論家・池田哲也氏=池田 、 所長=所長)

池田  今、セレクトショップなんかでよく見かける、あるイタリアの会社の
     ジーンズがあります。値段は高いですが非常に良く売れています。
     素材は日本製の素材なんですが、はいてみると確かに良い。でも
     同じ素材を使って、真似して他の会社でつくっても全く同じものは
     出来ません。

所長  何故同じものがつくれないんですか?

池田  それは、アズがつくっている「三ツ桃クレープ」も同じでしょう。原材
     料がわかっててつくってるミシンとか工作機械がわかっててもでき
     ないんですよ、これは。そこを勘違いしちゃうケースが多い。
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     イスの発泡ウレタンの話とおなじです。やはりそのプロセスが、つま
     りソフトですよね。それがその従業員の腕であったり感性であったり、
     企業の文化であったり。例えばイタリア製のスーツは縫製が雑だと
     かって言われるけど、でもやっぱり着たら良い。この理由は幾つもあ
     るんですが、その1つを例に挙げると、縫う人の体格一つにしても向
     こうの人はでかいわけです。バッて持ってガッて一気に縫うわけです
     よ。日本は体も小さいし、工場も小さいし、丁寧にチマチマ縫うわけで
     すよ。でチマチマ縫うのと、一気にガッと縫うのでは違うんですよ。
     持ちかえることによって微妙なズレが生じるんです。そのズレは縫い
     目が曲がってるとかそういういことじゃなくて、縫い目の剛性になって
     表れるんです。イタリア製のスーツは縫い目が柔らかく、これがスーツ
     に活きる。微妙に。そういう積み重ねなんです。使っている機械は同じ
     でもちょっとした具体的に眼には見えない数値で表せないそういったこ
     と。それがブランドというものをつくっている。

所長  なるほど。肌着という、人間が素肌に着用するものをつくる立場としては、  
     確かにそういう細かい部分の大切さはよく感じます。

池田  結局モノとか国民性でもだいたい苦しい状況から武器なり特色が生まれ
     ているわけですよ。新潟のコシヒカリだってあんな寒冷地で雪が降ってあっ
     たかい時期が極端に短い場所でどうやってお米作って生き延びようってい
     う必然ですから。もともとはインドの内陸のほうで稲の原生種が生まれて
     伝播しているからそんな寒いところで育つものじゃないわけですよ。でもそ
     れが世界で1番高いお米になっているわけでしょ。だからステテコもこの
     状況がねぇほんとうにチャンスなんですよ。ここから何とかするっていうか。

所長  これからステテコ研究所をやっていくにあたり、非常に勇気づけられました。
     貴重なお話を色々とお聞かせいただき、本当にありがとうございました!!

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