旅するステテコ – 鳥羽編

 旅を栖(すみか)とするステテコ・トラベラーに誘われ、世界中の旅先でステテコがくつろぐ様子をお届けする「旅するステテコ」シリーズ。2024年シーズンはフォトグラファーの濱津和貴さんが、お気に入りのステテコを連れ立って西から東へ、北から南へ旅に出ます。第1回は、海女のまちとしても知られる、三重県鳥羽市を訪れました。

 

Traveler : Waki Hamatsu

Photography : Waki Hamatsu

Edit : steteco.com

 

 フォトグラファーとしてさまざまな企業や出版物のお仕事のほかに、世界各地の文化や食にまつわるプライベート・プロジェクトも手がける濱津さん。今回は「kinhiji(きんひじ)」というユニット活動の海藻プロジェクトのため、5月の三重県鳥羽市へ向かいました。

 名古屋から伊勢方面へ向かう列車の車内から見えた、素朴ながらよく目立つ「赤福」の文字。みんな大好きな三重県を代表する名物です。そんな看板に影響されてか、お腹が空いてきたので駅の売店で購入した一口サイズの「天むす」を食べることに。でも今夜宿泊する旅館の豪華な食事に備えて、全部はやめておきました(笑)。

 近鉄(近畿日本鉄道)の特急「ビスタカー」に乗って伊勢志摩方面へ移動。長良川を渡る途中、きれいな空の青と中洲の緑で彩られた水彩画のような景色が飛び込んできました。向こうに見えるアーチ橋は伊勢大橋かな。ビスタカーはとても快適な乗り心地ですっかり気に入ってしまい、帰路ではその2階建て車両(の上の階)を楽しんで帰ったそうです。

 鳥羽市で「kinhiji」のパートナーと合流して車で一路、海女と漁師の町「相差(おうさつ)」へ。夕方に到着すると、静かに水面を光らせた相差漁港が迎えてくれました。西には伊勢志摩国立公園の山々にゆっくり夕陽が沈んでいきます。

 いよいよ楽しみにしていた宿の夕食です。色とりどりに盛り付けられたカツオやメジマグロが並ぶボリューム満点のお刺身や、アジのなめろう、ヒオウギガイ(桧扇貝)のフライなどをパクパク。すぐにお腹いっぱいになりました(笑)。この土地の宿泊施設は、古くから「料理旅館」という名称で営まれているのだそうで、中には「満腹旅館」なんて名も。

 旅先では「その土地ならではの文化」に触れたいという好奇心旺盛の濱津さん。伊勢市内を歩いていたら偶然おもしろそうなプリントスタジオ「MOLE FACTORY」を発見。「CLOSE」の札が出て閉まっていたところに、ちょうど店主の水谷さんが犬の散歩から帰ってきて開けてもらえたというから流石です。

 

MOLE FACTORY : 三重県伊勢市にあるプリント&デザインスタジオ。シルクスクリーンやリソグラフというプリント手法を用いて、布や紙などさまざまな印刷を行なっています。Instagram : @mole_factory

 

 旅館の中では終始ステテコ姿でくつろいだ濱津さん。「穿き心地はどうでしたか?」と聞くと、もともとゆったりした寝巻着が好きで、今回もそのまま穿いてぐっすり寝たほど楽ちんだったそうで、よかった、よかった。ちなみに着ているロングスリーブのTシャツはMOLE FACTORYで購入したもの。嬉しそうですね(笑)。

 

さてこのような「旅するステテコ」第1回でしたが、濱津さんの鳥羽への旅に連れて行ってもらい、ステテコもとても満喫できたようです。それではまた次回の旅もお楽しみに!

 メモ:今回の旅道具一式を簡単にご紹介。左上から時計回りに、色のコンビネーションが気に入ったというレディースステテコ(森・グレー)、旅先で出会った人を撮ってプレゼントするのだというポラロイドカメラ、かわいらしいケースに入った「omoto」の漆カップとペーパーナイフ、ワカメ型の名刺、磯遊び用の水陸両用シューズ、同じくグローブ、レンズなどを入れる防水バッグ、歯ブラシなどが入ったアメニティバッグ。

 

 

濱津和貴さん

東京在住のフォトグラファー。日常にたたずむ美しさをテーマに、人の営みとそこから生まれる光景を撮り続ける。近年、ユニット「kinhiji」を結成。写真集『summer vacation』ほか。

Instagram : @wakyhama / @kinhiji_

 

 

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