今年のボタニカルダイ・前編(月刊ステテコ 4月号)

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©Ryu Itadani
©Ryu Itadani

今月の絵 「 C.M.K. 」  by Ryu Itadani

ボタニカルダイ。今年の植物は?

今日からいよいよ新年度ですね。今月の月刊ステテコは、昨年から始めたボタニカルダイのシリーズの新商品についてです。このシリーズはsteteco.comオリジナルのオーガニックコットン100%の綿ちぢみ生地を使い、染めを天然植物から抽出した染料で染めたものです。現代の色素もあわせて使用することで、洗濯による色落ち等への耐久性を持たせています。

2020年よりスタートしたボタニカルダイのシリーズ

 

今年の染めに使用した植物は昨年同様3つです。まずは新登場、クスノキ科の低木で、樹皮の香りがエキゾチックなシナモンです。疲れを取ってパワーをつけるこの香りは、エジプトでは悪魔や敵の侵入から守ると信じられてきました。また世界最古の香辛料の一つで、強壮効果・食欲の増進・殺菌作用・風邪、冷え性の緩和の効果があるため民間療法として用いられてきました。

 

 

そして、こちらも新登場 マロウ。ハーブティーとして名高く、レモン汁を入れると色が変化することから「サプライズ・ティー」と呼ばれます。お茶は呼吸器への効果や鎮静作用があり、古くローマ時代から用いられてきました。お菓子のマシュマロは、この根の粉末を原料にしており、古代エジプトでは王族や神々が食べることができるものでした。

 

そして、最後に昨年もご好評いただいたクチナシ。甘い香りが特徴的なクチナシの花は、お酒やお茶の香り付けに使われています。この花の持つかぐわしい香りから”汚れない真の乙女”と呼ばせたものです。クチナシの実は、心の悩みや不安を取り除き、その人本来のパワーを取り戻すとされていました。そのため薬用として飛鳥・天平の頃から利用され、解毒作用や解熱作用、血圧を下げることなどが知られています。海の美しい色がいっぱいのハワイでは、山に青の色素が無いことからこのクチナシブルーは貴重な青系の色素でした。

 

ボタニカルダイの特徴は何と言っても色に深みがでることです。化学的な染料ですと、青なら青で1色ですが、ボタニカルダイの場合は黄色、緑、ベージュ等々 おおよそ200もの色素が混じりあって統合して1つの色になっているので、色に深みがでるのです。植物は1つの植物でもそれだけ沢山の種類の色素を実は持っているのだそうです。やはり、自然は凄いですね。さて、今年のボタニカルダイシリーズはどんな色に染まった製品が出来上がってくるのか、、、次回 ご紹介させていただきます!

Ryu Itadaniさんによる今月の絵「C.M.K」は今回染めたシナモン、マロウブルー、クチナシをモチーフに描いていただきました。

 

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