イイダ傘店さんと今年のステテコ・後編(月刊ステテコ 5月号 )

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©Ryu Itadani
©Ryu Itadani

今月の絵 「 Iida_Kasa_Ten 」  by Ryu Itadani

イイダ傘店さんと今年のステテコ・後編

国内で素敵なものづくりをされている作家の方々にご協力いただいている「steteco.com meets 日本のものづくり」のイメージ撮影。今年は、イイダ傘店さんにご協力をいただきました。この度、傘作家の飯田さんにお話しを伺う機会をいただきました。

イイダ傘店: 飯田純久さんが主宰する個人オーダーの傘工房。飯田さんのデザイン画をもとに布地から制作し、工房で一本ずつ手作りされた日傘・雨傘は、晴れの日も雨の日も人々の暮らしと持つ人の気持ちに彩りを加え、多くの人に傘の新たな魅力を伝えている。

 

以下 飯田純久さん=飯田  ステテコ研究所所長=ステテコ

 

今回は撮影にご協力いただきありがとうございました。早速ですが、飯田さんはこれまでステテコって穿いたことありましたか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
随分前に一度穿いたことがあるような、穿いたことないような。はっきりと覚えてないというレベルです。。
そんなところに、NUNO WORKSの須藤玲子さんからステテコの撮影の話が突然きて、正直、「えぇぇぇ 俺??」って感じだったんじゃないんですか?(※NUNO WORKSさんにはステテコの柄デザインで大変お世話になっていて、今回、須藤さんにイイダ傘店さんをご紹介いただいた経緯)
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
ステテコのモデルをやって欲しいと言われたときはどういう感じのモデルかな?とは思いました。穿いて仕事をするのか?もしくは本当のモデルみたいに穿いてポージングをするのか??それによってはちょっとどうかなとは思いましたね。
でも引き受けていただいて本当、嬉しかったです。ステテコドットコムのステテコの穿き心地は正直、いかがですか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
着心地、とてもよかったですよ。個人的にも、ちぢみのさらりとした感じは好きですね。実はイイダ傘店でもちぢみ素材の日傘を作ったことがあって。滋賀県の麻のちぢみで。
そうなんですね!
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
こういうのをシャツとかにしたら気持ちいいだろなと思いながら全部傘にしましたけど笑

 

工房内。いくつもの工程を全て手作業で行っている。

 

専用の器具を使い、布地を裁断していく。裁断された布が8枚で1本の傘になる。

 

こちらも専用の器具。中から湯気がでて、布地のシワをのばしてくれる
飯田さんの著書「イイダ傘店のデザイン」(ピエブックス)を拝読しました。元々は特段、傘に興味をもってたわけではないということですが、美大ではテキスタイルを学ばれています。テキスタイルには元々、興味をもっていたんですか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
興味はありましたが、そんなに深く考えてテキスタイルの世界に足を踏み入れたわけではないんです。
飯田さんのデザインをもとに傘のテキスタイルがつくられる
学生時代はダンス部に所属され、やんちゃだったとか。でもスケッチや傘の布地のデザインを拝見するととても繊細な感じで、失礼ながらギャップを感じてしまうんですけどその辺り、いかがですか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
今はやんちゃじゃない笑  昔と今のギャップはありますね。あと、学校のイベントに向けて何か図工をして制作をしたりとか、そういうことは昔からずっと好きでやってきましたね。
飯田さんはステテコがとても似合う

 

本を読んでとても感じたのが、「傘をオーダーしてもらって、つくって、届ける」という一連の流れへの飯田さんのこだわりと想いです。ある程度の規模になるまでは、出来あがった傘をお客さんに1本1本 直接届けに行ってたとか、展示会への招待状も1枚1枚手書きされていたというこだわりとか、凄いなぁと。そうさせているのはどういう想いがあるからなんでしょうか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
最初のスタートがそのやり方をやってたというところがありまして。友達に頼まれてつくってあげて、それが出来上がると待ち合わせして手渡ししに行って。その傘をみた人がもう1本欲しいとか、その友達が欲しいという感じで徐々に広がっていったんです。でも展示会なんかをやり始めたタイミングで、ある程度まとめて作ってそれを送るというやり方になっていったのでその時に急に変わるというよりは、これまでのやり方とつながってるように出来るだけしたいなと。住所と送料をいただき傘を送る際に、今までは手渡ししていたので、「では手紙を書こうか」と徐々になってきて。そのあとだんだん数が増えてきて手紙を書こうから違うやり方に変えていったのですが、スタート当初のやり方をそのままは出来ないけれど、気持ち的には、少しでも近い形で続けていきたいなと考えているというところはありますね。
スタート当初からすると今は規模感もすごく大きくなっていると思うんですけど、今でも「あらかじめ傘を沢山つくって店舗に卸す」という一般的な流通はされていないのでしょうか?
ステテコ
ステテコ
飯田
飯田
例えば1~2週間といった期間限定の催事での販売というのはやってますが、いわゆる一般的な流通の卸しはないですね。ビジネスっぽく考えるともっと作ってもっと売ってということかと思いますが、オーダー会で「欲しい」ってオーダーしてもらってつくって届ける そのワクワク感と言いますか、ライブ感があるところで成立するうちは、っていうところですね。「展示会、今度やりますよ」「じゃぁそのタイミングで見に行こう」みたいな感じを お客さん側もちょっと楽しんでもらえたらと。感覚的に今のやり方でやれているうちは幸せだなぁというのはありますね。
ビニール傘や安価な傘を否定するわけではなく、お客さんに向けた選択肢のひとつとして、こだわって手作りされた傘を提案されている姿勢、とても感じ入りました。子供の時に感じていたような、お気に入りの傘をさすのに雨の日も楽しみにしていたような感覚。そんな感覚を大人になっても感じることができるイイダ傘店さんの傘、とても素敵だなぁと思います。この度は本当にありがとうございました!
ステテコ
ステテコ
撮影に協力いただいたイイダ傘店の皆さん。ありがとうございました! (photography: Kentaro Kase)

 

 

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