純喫茶とステテコ(月刊ステテコ4月号)

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@Ryu Itadani
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今月の絵「純喫茶・ステテコ」   by Ryu Itadani

純喫茶とステテコ(月刊ステテコ4月号)

 新生活の始まりとして、”入学”や”入社”など何かと「入る」ことの多い4月。春の陽気に誘われて近所を散歩しているうちに、つい喫茶店を見つけると入ってしまうという方も多いのではないでしょうか? 来たる4月13日(木)は、1888年に日本で初めての本格的コーヒー店「可否茶館」が開店したことを記念して制定された「喫茶店の日」でもあります。

 —そこはどこか懐かしい雰囲気の喫茶店。黄色いカラフルな看板が前に立つアーチ型のドアを開けると、カウンター越しのマスターから品のある「いらっしゃい」。明るい窓際の席に座り、センスの良いマダムの気配がするインテリアにキョロキョロ。淡い色紙にカラーペンで書かれたメニューを指でなぞりながら、落ち着いた声で注文を伝えます。

 やがてお店の名が印刷された厚紙のコースターと一緒に現れた、一杯のアイスコーヒー。そっとストローを差してグラスのふちをゆっくりと、ぐるり。カラン、コロンと氷を馴染ませてひと口、ごくり。さあ、自分だけの至福の瞬間です。—

 今は街を歩けば、さまざまに趣向を凝らしたカフェや喫茶店に出会うことができますが、中でも純粋にコーヒーを楽しむことにこだわった硬派な「純喫茶」には、時代を越えた不動の人気があります。

 時の移ろいの中、つねに人々のいこいの場でありながら、ひとつの道の奥深さを追求し続ける「純喫茶」。そこには長い間、庶民に親しまれてきた「ステテコ」の存在にも通じる精神を感じることができます。

 歩き疲れて乾いたのどを潤したり、窓の外を眺めて物思いにふけったり。読みかけの物語の続きを開いたり、静かに目を閉じてコーヒーの香りに旅の記憶を重ねたり。

 そんな思いおもいのひとときを過ごせる「純喫茶」のように、steteco.comもまた、一人ひとりの「心地よさ」に寄り添うものづくりを追求していきたいと思います。

 4月からはじまる新生活。散歩がてらにはぜひ、純喫茶でリフレッシュを。

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