今月の絵『びわ湖』 by Ryu Itadani
びわ湖とステテコ(月刊ステテコ7月号)
梅雨があけて、夏本番へと向かう7月。
蒸し暑い夏にこそ「涼しさ」を発揮するステテコですが、その秘密は「綿ちぢみ」という江戸時代から受け継がれる伝統的な素材にありました。そこで「月刊ステテコ7月号」では、サラサラした肌触りが魅力の「綿ちぢみ」を生んだ「びわ湖」に注目し、そのルーツや伝承などをご紹介します。
そもそも「びわ湖」は今から約400万年前にできたといわれています。国生みの神である“イザナギ”と“イザナミ”によって日本で最初に誕生したとされる「淡路島」と形が瓜ふたつである不思議や、伝説の巨人“デイダラボッチ”が富士山を作る土を集めるために掘った穴の跡が湖になった―など、世界有数の古代湖にふさわしいユニークな神話や伝説が残っています。
一方、ステテコドットコムにとって重要な生地である「綿ちぢみ」のルーツは江戸時代後期、びわ湖のほとりにある「高島郡」に住んでいた農家の冬の季節の副業として始まりました。初期の手撚りと手織りによる人力での作業から、時代とともに徐々に設備が近代化し、品質と生産力が向上。その間に日本人の日常着も和服から洋服へと変化しましたが、綿ちぢみの涼しさと心地よさの魅力は変わることなく、現代まで親しまれ続けているのです。
また「びわ湖」は、東西に江戸と京都、南北に関西と日本海の途中に位置することから、古来、人や物資を運ぶ水運の要所でもありました。江戸時代には「丸子船」というびわ湖特有の木造船が活躍しましたが、しばしば雨や風の影響を受けることも。そのことから、危険を冒してまで急いで湖上を渡るよりも、遠回りだけれど確実に歩いて橋を渡った方が良い。という「急がば回れ」のことわざの由来にもなっています。
現代の私たちの夏の過ごし方においても、急激な温度の変化は体に負担がかかりますので、慌てず急がず、ステテコを穿いて、ゆっくりくつろぎながら涼をとってくださいね。