高島ちぢみとは?・後編(月刊ステテコ 7月号)

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©Ryu Itadani
©Ryu Itadani

7月の絵 「 TAKASHIMA 」  by Ryu Itadani

高島ちぢみは強撚織物

ちぢみ生地はヨコ糸に強い撚りを加えられた状態で織る為、「強撚織物」とも呼ばれます。撚りが入ったヨコ糸を仮セットした状態で織り、型を付けてからお湯に入れることで、仮セットされていた撚りが戻り、生地が一気に幅方向に縮みます。その際、型を付けた形状に生地表面に凹凸ができます。つまり、「撚り」が入っていることがちぢみ生地のさまざまな特長の源泉となっていて、撚りをどれぐらい入れるかで、ちぢみ生地の表情・風合いは大きく変わります。

特に強い撚りをかけた織物には「強撚」印が!

 

高島ちぢみが生まれる現場

京都から湖西線に乗って高島に向かう途中。進行方向に向かって右手に琵琶湖がひろがる。
イタリー式撚糸機(アップツイスター)とも呼ばれる撚りをかける機械。撚糸機は他にもリング撚糸機とよばれるものもあり、生地の種類や生産量によっても使い分けられる。

ここを糸が通っていくことで撚りが加えられていく。撚りの微妙な加減で生地の風合いが大きく左右される為、作業時の気温・湿度などを経験的に加味して熟練工が行っている。

撚った糸で 織る

ステテコドットコムのちぢみ生地の大半をつくっていただいている本庄織布さん
真剣な眼差しで織り具合を確認する本庄さん

織り上がったちぢみの生機(きばた)が積まれる

 

ちぢみ生地を晒す

本庄織布さんで織られた生地は高島晒協業組合さんで晒加工をされる。圧力の加減を調整しながらデコボコのあるロールの間に生機(きばた)を通して生地に型をつける。
ロールを通り生地表面に型がついた
型が付いた後、お湯を通ることで幅方向にぐっと生地が縮み、表面にデコボコが現れる。

精錬、漂白などいくつもの工程を経て、生地が晒されていく。

ふんわりと軽くて優しいちぢみ生地が出来上がってくる

 

今回ご紹介した、「糸を撚る」「撚った糸で織る」「ちぢみ生地を晒す」という工程を経て、肌ざわりの良いちぢみ生地が出来上がります。高島が綿ちぢみの代表的な産地とされているのは、それぞれの工程を高島地区内で完結できるからです。ステテコドットコムを運営する株式会社アズは国内に自社工場を持ち、80年以上にわたり肌着とリラックスウェアを作り続けてきました。ちぢみ素材のステテコは会社の草創期のころから柱の1つとして長年取り組みつづけてきましたが、高島が国内唯一の綿ちぢみの産地となった今、高島産地の存在は国内でものづくりを続けていく上でますます大切なものになっています。日本が誇る綿ちぢみの産地の力を未来に継承していくためにも、ステテコドットコムも微力ながらですが引き続き頑張っていく所存です。

Ryu Itadaniさんによる今月の絵「TAKASHIMA」は高島産地のちぢみを生み出す機械設備をモチーフに描いていただきました。

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