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研究本部 開発日誌

vol8.池田哲也さんとの対談(3)

(以下  服飾評論家・池田哲也氏=池田 、 所長=所長)

所長  これからの日本のモノヅクリの方向性について、どうお考えですか?

池田  テレビでも何でも日本の匠だの、日本のテクノロジーだの、自画自賛
     してますけど、日本人が得意なものと不得手なものとやはりモノヅクリで
     もあるので、まずそこはしっかりと認識しておいた方がいいですよね。

所長  例えばどういうものが得意でどういうものが不得手なのですか?

池田  厳密性と均一性が製品の性能として反映されるものは得意ですね。でも
     不完全性が商品の魅力になるものは不得手ですよね。例えばカメラのレ
     ンズ一つとってもクリアーで明るいものをつくるのは日本人は得意です。
     ところが世界で名高いライカ、カールツァイス、ハッセルというのはそういう
     ものではないですから。味があって微妙に曇ってたり、通す色と通さない
     色があったり。例えば車のイスの中に使われる発泡ウレタンという部材が
     日本では上手く生産出来ないんですよ。攪拌や形成といった製造プロセス
     における寝かしだとかという極めてあいまいで数値化しにくいノウハウがあ
     るみたいで。日本の教育が規則性だとか厳密性でものを考える教育になっ
     ていますからね。例えばイスでハーマンミラーって知ってます?

所長  はい、アメリカのメーカーのイスですよね。
 
池田  高いですけどこれはもう、十何時間座っていても背中のはりとか腰の痛みと
     か無いですね。結局 NASAの管制室とかみると全部イスはハーマンミラー
     ですよ。普通のイスでも姿勢を正して座ればそれなりに良いわけなんですが、
     人間ってそんな常にその姿勢を正して座っているわけじゃないじゃないです
     か。その姿勢を崩したときの許容範囲までハーマンミラーはみんな計算して
     あるわけですよ。日本人からみれば「ここまでするのか!こういう考え方をす
     るのか!」という位の開発と投資が1脚の椅子のモノヅクリになされている。
     でもそれが何十年も売れ続けるわけですよ。結局、世界中で評価されている
     モノを見渡すとそういうものばっかりなんですよ。資源も無く、しかもこれから
     人口が減っていく日本が、どうやって世界の列強と伍して自分たち独特のポ
     ジションを築きあげていくか、こういうことを考えた時には今までやってきたこ
     とに加えて、そういうモノヅクリをしていくしかないと思うんです。
                            
                           (次回 「池田哲也さんとの対談(4)」に続く)

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