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研究本部 開発日誌

steteco.com LABOで買い物日誌 「浄法寺漆」

ステテコ研究所員がお届けする、「steteco.com LABOで買い物日誌」番外編

5回 「 これぞ “JAPAN”の浄法寺漆」職人さんの仕事場にお邪魔したの巻

steteco.com meets iwateも 最後の開催地 OSAKA LABOにて先週末 終了した。催事も無事に終わり、最後に今回の催事のタイトルにもなっている、漆(うるし)について是非紹介させていただき、締めくくりとしたいと思う。

2012年8月某日 _____まだまだ暑さの厳しい中、私たちは「ステテコ」同様に日本の古き良きモノがあると聞いて、岩手の地を訪れた。その際、生まれて初めて漆の現場を見る機会をいただいたのだ。訪れた時に知った興味深い豆知識を2つほど。

世界最古の漆製品は北海道から出土している。約9000年も前の縄文時代のものだそうだ。

もう1つ、「漆」は英語で訳すとずばり、「 japan 」なのだそうだ________

浄法寺漆編 研究メモ

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私たちも訪れて初めて知ったのが、日本で売られている「漆器」に使われている漆のうち、日本国内で採られたものは現在、わずか3%でしかない。その、わずか3%しかない国産漆の大部分(7割以上)が採られている国産漆の聖地こそ、私たちが訪れた岩手県二戸市浄法寺町なのである!

 

福島県会津から浄法寺町に移り住み、現在、夏場は漆掻き職人をして冬場は塗り師としてご活躍されている鈴木健司さんに漆掻きの現場に連れていっていただいた。鈴木さんの漆器作品は下塗りも上塗りも全て、鈴木さん自ら山に入って採った高品質な国産漆が100%使われ、生み出されている。

 

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漆の林を目指して、山道を進んでいく一行

 

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目の前に現れた漆の林

 

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漆の木を前にして、漆について何も知らなかった私たちに色々と説明していただいた鈴木さん。

1人の職人が400本ほどの漆の木を受け持つ。初夏から秋にかけて早朝から日が暮れるまで山の中でせっせと行う、ハードな作業だ。

鈴木さんも毎年、漆掻きを終える時期には、だいぶ体重が落ちているそうだ。そうやって、1年で漆の木1本あたり採れる漆はわずか牛乳瓶1本分ほど。これはお茶碗にして6杯塗れるほどでしかない。

 

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鈴木さんが私たちの目の前で漆の木を掻いてくれることとなった。固唾を呑んで見入る。

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鈴木さんによって傷を入れられた幹から乳白液の漆の樹液がしみでてきた。一見、単純に見える作業だが、下手な漆掻きだと木を駄目にして、樹液が出なくなってしまう。また傷をつける具合や、タイミングでも漆の品質が変わってきてしまう。繊細さや漆の木との絶妙な呼吸が要求される作業だ。年月かけて育った漆の木だが、こうして半年がかりで樹液を採られると伐採されてしまう。古来、日本人はこうして漆の木の命と共に樹液を頂き、また伐採された木を捨てることなく様々な形で無駄なく活用してきたと教えてもらう。

 

漆の林を後にして、次に私たちは「滴生舎(てきせいしゃ)」さんに向かった。滴生舎さんは浄法寺の漆を使った漆器や漆芸品を厳選して製作、展示販売していて、「浄法寺漆芸の殿堂」とも呼ばれるところだ。

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滴生舎さん内にある工房 伝統を受け継ぐべく、若い女性の職人さんも作業に勤しんでいた

 

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国産漆 100%であることを証明する浄法寺漆の認証マーク。日本の漆は硬化すると膜が堅くなるので、特に仕上げに使うと良いと言われているとのこと。

 

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滴生舎さんの展示販売スペース  数々の素敵な漆器が沢山並んでいる             滴生舎:http://www.tekiseisha.com/

 

漆は熱にも強く、また熱伝導性が低い為、漆を塗った器は熱いものを入れても冷めにくいという機能性も持つ。科学的にもまだ解明されていないことも多く、「古くて最先端」な塗料だそうだ。

今回、漆の現場を初めて見させていただき、日本発祥の文化で9000年以上もの歴史をもち、「 japan 」と訳されるほどの漆について、恥ずかしながら自分がいかに何も知識を持っていなかったことを思い知らされた。現在、浄法寺漆を支える漆掻き職人は20数名ほど。その大半が70歳以上の方とのことだ。わずか3%しか使われていない国産漆の7割以上を生産しているこの浄法寺の漆掻き職人の大半が70歳以上というのが現実なのである。

今、世の中が色々な面でグローバル化が進んでいる。単純に、国産だから良いとか、海外のものは駄目とか、そういう話ではもちろん無いと思う。色々な価値観があってしかるべきだし、価格も含めて色々な選択ができる方が良いと思う。でも日本人として、自分達の国の文化や、その実情について、正しい知識を全く持たないままに、いつのまにかその文化や生産背景を失ってしまうのは、あまりにももったいないことだと思う。

 

以上の想いもあり、またちょうど私が使っていたお箸がもう曲がってきていたということもあり(笑)

OSAKA LABOで国産漆100%を使った滴生舎さんのお箸を購入してみた。

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早速、シバ漬け茶漬けを食べてみる。うーん、何か、美味い!

 

追記

これもこれまで知らなかったことだが、漆器は使えば使うほどだんだん光沢が出て輝いてくるそうだ。「この漆を育てて下さい」。滴生舎の小田島さんの印象的な一言を思い出しながら、ピカピカに輝く漆のお箸の姿を想像してみた。

 

                                      

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